連載「高橋健介が日本のローカルな魅力について考える」第9回【宿場町編】

高橋健介

「日本のローカルな魅力について考える」をテーマに俳優・高橋健介さんがまだ知らない日本各地の名産や隠れスポット、文化などを知り、高橋的NO.1〇〇を決定していく本連載。
毎回、編集部がテーマに沿って厳選した日本のいいモノ・コト・場所を二つずつ高橋さんに紹介し、高橋さんにはどちらがより好きだったか本音で答えていただく。
第9回は宿場町編。

(撮影:藤井洋平/ヘアメイク:田中紫央)

日本の古き良き、宿場町を知る

G 今回は宿場町を紹介したいと思います。宿場町ってなんとなくイメージありますか?

高橋 なんとなく、江戸時代に整備された街道に沿って設置された小さい町ですよね?長旅の道中、休んだりできるようにっていう。

高橋健介

G その通りです。

高橋 「東海道五十三次」や「中山道六十九次(木曽街道六拾九次)」で描かれていたりしますね。

G さすがです。高橋さんみたいに浮世絵で知っているという方は多いですよね。

高橋 よく道端になんとか宿場跡っていう目印が立っていますけど。

G ほとんどがそうやって整備されていますが、当時の趣を残す宿場町もあるんです。

高橋 宿場町もそれぞれの変遷を遂げているんですね。

G はい。今回は山口県の萩往還にある佐々並市と、中山道の奈良井宿(長野県)を取り上げます。宿場町といっても全く違う面白さなんです。

山口県・萩往還佐々並市

萩往還
出展:全国伝統的建造物群保存地区協議会

高橋 「はぎおうかん」っていうことは、萩につながる街道っていうことですよね。

G そうですね。江戸時代に萩藩が作った街道です。
山口県を縦断する道で、日本海側の萩と、萩藩が商港として使っていた瀬戸内海側の防府をつないだ街道です。萩往還は萩藩にとって参勤交代の経路でもあり商港への重要な道だったんです。

高橋 日本海側の萩から海路だと、江戸までは遠回りですからね。

出展:歴史を感じ 自然を感じる 萩往還を歩こう ー萩往還とはー
出展:歴史を感じ 自然を感じる 萩往還を歩こう ー萩往還とはー

G そうですね。参勤交代の時は、防府から海路で大阪まで行って、大阪から陸路だったらしいです。

高橋 参勤交代、考えただけで果てしないな。

 ですね。そして萩と言えば……

高橋 松下村塾、吉田松陰ですね。

G はい。身分に関係なく誰でもお月謝無料で受け入れ、自主性を重んじ、共に学ぶという塾風で多くの人材を輩出した松下村塾。そんな松下村塾で教鞭をとっていたのが吉田松陰。

松下村塾
出展:萩市観光協会公式サイト

高橋 当時として最先端すぎるというか、現代的なスタイルですよね。

G この萩往還はそんな吉田松陰をはじめ、松下村塾に学んだ高杉晋作や伊藤博文、久坂玄瑞、山県有朋なども江戸や京都への経路として行き交ったそうです。いわゆる尊王攘夷志士。
高橋さんが共に闘っていたのは新選組の刀なので、敵対関係ですかね。

高橋 ま、僕以外は新選組の刀ですけど、僕自体は阿波徳島藩の刀なので、新政府側と対峙したわけではないですけどね。むしろそっち側。

G たしかに。
そんな萩往還は、松陰先生が安政の大獄で江戸に護送される際も通った道で、その時に松陰先生が詠んだ句は石碑に刻まれてここに建っています。萩を臨むこの景色で思いを馳せるといっそう惜別の念を感じますね。

出展:萩市観光協会公式サイト

高橋 若くして処刑されていますからね。

G そんな萩往還の真ん中にあるのが、佐々並市です。

高橋 「ささなみいち」ですね。

高橋健介

G はい。佐々並市は国選定重要伝統的建造物群保存地区になっていて、当時の町割りや建築物を残しているんです。佐々並地区の人口は600人くらい。萩市役所まで車で20分程度の生活に便利な場所に位置しています。標高200メートル。

高橋 じゃあ、萩市周辺よりは涼しそうですね。

G 5度も涼しいらしいです。

高橋 へー。
落ち着いた雰囲気の町だし、景観が保たれているからかオレンジの屋根がきれいですね。

出展:萩市ホームページ

G  これは日本三大瓦の一つで江戸時代から作られている、石州瓦という赤瓦です。
石州瓦は山陰地方で見られるんですが、耐久性や断熱性に優れていて、雨、積雪、塩害に強いため佐々並地域でも重宝したみたいですね。

高橋 なるほど。日本海が近くて標高が高くて寒くなる佐々並にはもってこいなんですね。

G そういうことになりますね。
そして、この佐々並市を含む萩市は萩ジオパークの一角になっています。北海道の湖の回でジオパークの話が出ましたが。

高橋 地質の遺産ですね。

G そうです。そして佐々並市は1億年前にできたカルデラの中心に位置しています。

高橋 噴火でできる陥没地のことですよね。

出展:萩ジオパーク

G はい。ジオパークで周りの自然がそのまま保護されているため、カルデラの中心だということを感じる場所が随所にあり、宿場町はもちろんですが、火山の偉大さにも思いを馳せながら散策することができます。

高橋 地形も歴史も盛りだくさんですね。

高橋健介

長野県・中山道奈良井宿について

出展:奈良井宿観光協会

G 続いて奈良井宿について。奈良井宿は日本橋と三条大橋をつなぐ五街道の一つ中山道にあります。

高橋 以前、レンガ建築の回で出てきためがね橋(碓氷第三橋梁)がある碓氷峠も中山道でしたよね。

G そうですね。この図でいうと赤い線が中山道ですね。ピンクが日光街道で、黄色が甲州街道、緑が東海道ですかね。

出展:中山道会館

中山道には69の宿場があり、碓氷峠は起点から16番の坂本宿のあたりです。奈良井宿は起点から34番目に位置します。

高橋 ちょうど真ん中くらい。

G ですね。こちらも国の重要伝統的建造物群保存地区で、街並みは保護されています。中山道沿いに約1km続く日本最長の宿場町です。

高橋 奈良井宿って映画のセットみたいにきれいですね。

 ですよね。実際に朝ドラのロケ地にもなっています。
道路は舗装されている部分があるものの、江戸時代ってこんな感じなのかなーと思うような景観ですね。

高橋 たしかに電線もないですね。

G そして標高960メートルという中山道の宿場町の中でも標高の高い場所にあります。

高橋 山奥の宿場町ってことですか?

G はい。中山道でも碓氷峠、和田峠と並ぶ屈指の難所と言われる鳥居峠の北麓にある宿場です。

高橋 へー。

 そんな奈良井宿ですが、佐々並市と見比べてもらって、違うところに気が付きませんか?

高橋 あー、奈良井宿の建物は2階と屋根の部分がせり出している?

出展:奈良井宿観光協会

G そうなんです。この造りは出梁(だしばり)造りというそうです。
重力に反したアンバランスな感じが、アニメの世界観というか幻想的な感じがしませんか?

高橋 たしかに。これにも理由があるんですよね?

G  豪華に見せるというのも理由の一つにあるのですが、2階部分のスペースを広く確保するためだそうです。構造的にも丈夫になるみたいですね。

高橋 なるほどね。密集して建っているから、居住スペースを確保するにはそれが良かったのかもしれないですね。

G 密集していて屋根が出っ張っているから、雨の日も軒下を通ればぬれないで歩けるというメリットもあります。

高橋 たしかに、ちょっと嬉しいですね。

G 見てのとおりノスタルジックな宿場町なんですが、実は、古民家を利用した複合施設が誕生したり、カフェや雑貨屋さんがあったり、おしゃれなスポットになっているんです。

出展:嵓 kura

高橋 へー。

G 私も木曽ヒノキの曲げわっぱを10年くらい使っていますけど、そういう伝統工芸が好きな人には、木曽ヒノキの漆器や曲げ物のお店もたくさんありますので、楽しいと思います。

出展:花野屋

高橋健介が行きたい宿場町は?

G いかがでしょうか。

高橋 ちょっと違い過ぎて難しいです。
まず佐々並は赤瓦に興味がありますね。耐久性があって断熱性に優れているって、今の地球の環境からするとすごくエコでいいなって。落ち着いた街並みも魅力的だし。

高橋健介

G  そうですね。大きく観光地化されているわけではないので、純粋に古を感じられると思います。基本、萩を拠点にしてちょっと足を延ばす感じだと思います。

高橋 なるほどね。そういえば僕、山口県には行ったことがありました。

G そうなんですか?

高橋 高校生のときなんですけど、山口県の防府で行われる「お笑い講世界選手権大会」という大会に出ました。

G お笑いの大会ですか?

高橋 いや、3人1チームで笑いの迫力や品位を競う大会。笑うだけなんですけど、周りも幸せになるようないい笑いができているかっていうのを競うんです。

出展:山口県防府市の観光情報ポータル

G へー。

高橋 もともとは豊作祈願のお祭りだったんですけど、「防府の町から笑いで世界を平和に」という趣旨で開催されているんですよ。たしか高校生の部だったかな、3位。

G さすがですね。

高橋 そう、防府には嬉しいときとか感謝を伝える表現で、「幸せます~」っていう方言があるんですけど、そうやって幸せを伝えあっているんですよ。防府は高校生も積極的に伝統的な取り組みに参加したり、町全体が笑顔とか幸せな空気感でしたね。

G 思い出の地だったんですね。

高橋 はい。萩ではないんですけど萩往還の一角ではあるので。

高橋 奈良井宿は、街並みは残しつつ複合施設があったり、町を盛り上げようという気概を感じますよね。

G たしかに。奈良井宿は隣の木曽平沢と行き来できる周遊バスが出ていますし、泊りでも楽しむことができそうです。

出展:塩尻市観光協会

高橋 長野県は親の出身地なので行ったことはあるんですけど、奈良井宿には行ったことがない。場所的には、都内から近い奈良井宿は行きやすいでしょうね。

G 東京から高速道路だと3~4時間くらいですかね。

高橋 僕的には運転するので、そのくらいなら中山道を下道で辿ってみてもいい。

G たしかに楽しそうです。

高橋 ですよね。
今回も比較が難しかったんですけど、じいちゃんとばあちゃんを連れて行くなら、手つかずの歴史を感じられる萩往還。友達と行くならおしゃれなスポットが多い奈良井宿に車で行く感じですかね。

G それがいいかもしれないですね。

高橋 ……選んでないですけど、こんな感じで大丈夫ですか?

G もちろんです! 今回もありがとうございました。

<つづく>

※掲載情報は記事公開時の情報です。

高橋健介(たかはし けんすけ)

1994年12月24日生まれ。東京都出身。2014年に舞台『ハマトラ』で初主演、2015年には『ウルトラマンX』で主演として大空大地役を務める。『テレビ演劇 サクセス荘』、ミュージカル『刀剣乱舞』など数々の人気作品に出演している。10月22日・23日「MASAMI SYSTEM VOL.1 高橋健介のヒトリブタイ『ビューティフル』」に出演予定。

Twitter:https://twitter.com/kensuke_mr6
Instagram:https://www.instagram.com/kensukeaogaku/
オフィシャルサイト:https://takahashi-kensuke.com

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